みなさん、こんにちわ!
qdocu DAO が目指す未来(1)では、人々の権利や平等と計算機(コンピューターも含む)のハードウェア的な性能向上や、ソフトウェアの進化について触れました。
プレ・シンギュラリティ(前特異点)
qdocu DAOが目指す未来(1)でシンギュラリティについて触れましたが、その前段階、前特異点と呼ぶ状況になると予測されています。この前特異点の特徴として次の項目が挙げられます。
・社会の仕組みや価値観などの常識が変革され、すべての前提条件は成立しなくなる
・資源問題は革新された手法によって解決される
・エネルギーがフリーになる
・革新的な生産性が実現され自働化された工場から食料を含むすべての衣食住はフリーで供給される
・労働からの解放
・通貨が無くなる
夢物語のような項目を並べましたが、これらの実現には基盤となる共通の要素として、情報技術やAIの進歩が必須となります。
AIの歴史
ここで、一度 AI の歴史について触れておきましょう。
AIという用語は、1956年のダートマス会議で初めて用いられて以降、幾度かのブームが起こります。
・第1次AIブーム:1950年代~
成果 ー 推論と探索を中心とする、一意に定まったルールに対して解を示すことができた。
課題 ー 人類社会の活動は膨大な不確定要素で構成、一意に定まったルールの解では限界がある。
・第2次AIブーム:1980年代~
成果 ー 専門分野の専門知識を取り込み、専門家のように振る舞うエキスパートシステム実現。
課題 ー 膨大な知識量の入力と知識同士が衝突・矛盾することで曖昧な判断が困難。
・第3次AIブーム:2000年代~
成果 ー 機械学習とディープラーニングによる画像や音声認識、自動翻訳などが性能向上。
課題 ー 現代のAIはすべて「弱いAI=特化型AI」であり、延長上に「強いAI=汎用AI」はない。
AI研究の歴史は、約70年のコンピューター性能向上の歴史と密接な関係があり、コンピューターの性能向上によって処理できる範囲や用途は拡大してきました。しかしながら、いずれのブームにおいても、コンピューターの演算性能が不足する実態が課題であり、科学者たちの理想とした汎用AI=強いAIを実現させるには至らない現状があります。
強いAI=汎用AI
qdocu DAOが目指す未来(1)では、計算機能力の向上率で、飛躍的な進化が遂げられていることを示しましたが、その演算能力をもってしても、汎用AI実現には演算性能が不足している現状です。
汎用AIとは、人間が実現可能な知的作業の理解や学習、実行ができるAIを指します。一言でいうなれば、アニメ「鉄腕アトム」のアトムや、「ドラえもん」のドラえもんのようなロボットに組み込まれているであろうAIを指します。
人間の脳の演算性能
みなさんが、普段何気なく行っている動作や思考、つまり、人間の脳が処理している情報処理能力は、不確定要素や条件の振れ幅が大きすぎるため、コンピューターで処理をさせるとなれば、計算処理に時間が掛かりすぎるのです。
一例をあげると、「歩く」という動作一つをとっても、脳は様々な感覚器官からの情報入力によって、複雑な処理を行う。視覚から入力される情報(路面状況、平坦さ、勾配、周囲の危険物など)と、聴覚から入力される情報(車のエンジン音や踏切の警報音など)、触覚から入力される情報(皮膚にあたる風の感覚や風速によって揺さぶられる体など)、嗅覚から入力される情報(潮風のにおいや、土のにおい、風に乗って運ばれてくるにおいなど)、他に前庭と半規管(俗に三半規管と呼ばれるが、角加速度が三次元方向であり、互いに直交した器官)が3つから情報が入力されるのです。脳は、必要に応じて、それぞれ器官への入力情報を必要な時に取捨選択しながら、重心移動や足上げ動作、平衡感覚、着地時の路面感覚を制御しています。
これらのことから、人間の脳の演算性能がすごいことが理解いただけたかと思います。肝心の人間の脳の演算性能については、諸説あります。2000年代初頭では、カーネギー・メロン大学ロボット工学研究所の主席研究員ハンス・モーベックによると、人間の脳の処理能力は100TFlops(ざっくり1秒間で100兆回)と推定されていました。2013年に日本とドイツの研究者チームが、スーパーコンピュータ「京」を使い、人の脳1%分に相当する10兆4000億個のシナプス結合された神経回路シミュレーションに成功しました。この時、人の脳1秒間に相当する演算をするのに「京」は40分もかかったそうです。「京」の演算性能は602.7TFlops(ざっくり1秒間で602兆7千億回)でしたので、人の脳は「京」の約24万倍の演算性能があるようです。(144,648,000TFlops=144,648PFlops≒145EFlops)
スーパーコンピュータ性能ランキングのTOP500(www.top500.org)が発表しているデータから、世界最高性能のスーパーコンピュータは、アメリカ・オークリッジ国立研究所のFrontierで、演算性能は1194PFlopsでした。スーパーコンピュータの演算性能がムーアの法則に則り、約1.5年で倍に性能向上すると仮定すると、おおよそ16年後(2040年前後)には、人間の脳が持つ演算性能を超えるコンピューターが実現できそうです。
qdocu DAO が目指す未来(3) へ続きます
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